長谷部の笑顔と落ち着きと

日本対シリア後半30分の会話(推測)
長谷部「あれはオフサイドではなかったんですか」
レフェリー「そう、私は君たちのチームのバックパスと判断したからね」
長谷部「副審はフラッグを揚げてましたよね」
レフェリー「私は、ボールが出たことと君たちのGKが手でシリアの選手の足を払ったの見てホイッスルを吹いた。
それからから、君たちのアピールを聞いて副審を見た。
そして、オフサイドではないから旗を降ろせと指示したんだよ」
長谷部「なるほど、あなたは確かにボールがシリアの選手に渡るときにはホイッスルを吹いていませんね。
ボールとシリアのFWだけ見れば明らかなオフサイドなんですが。
あなたの判断は、バックパスないしはGKのクリアが跳ね返ったからオフサイドではないということですね。
ということは、インプレーだからGKの手が足にあたったところで吹いたんですね」」
レフェリー「そういうことだ。私は冷静に判断したつもりだよ。
副審は最終ラインの選手と同じ位置にいて、短時間にボールがバックパス→GKのクリア、
そしてまたGKへと一往復半したからね。ボールの出所とラインの両方を判断するのは
とてもむずかしい。最終ラインを見ている限りはオフサイドのフラッグを揚げるさ」
長谷部「いや、僕たちもみんなボールに集中してましたからね。
ただ、最後のボールの出所にいたチームメイトは触っていないって抗議はしています。
これは、一応はあなたの耳に入れて置いてほしいんです」
レフェリー「それは当然だ。私よりボールのそばにいたんだから。
それに、同点にされるかどうかの瀬戸際だからね。
だけど、君のチームのコーチは抗議のためにラインをまたいでピッチにはいったからね。
これは許されないことだから、退席してもらったんだ。
ただ、素晴らしいと思ったのは、君もチームの全員も、リザーブの諸君も冷静だったことだ」
長谷部「ありがとうございます。もう笛が鳴ったのですからね。
何があっても、くつがえることがないことは承知していますから」
レフェリー「ありがとう。ところで、PKなんだが、GKの交替はまだかな」
長谷部「すいません。急なことなので。ポジションの修正も含めてもうちょっと待ってください」
レフェリー「やむをえないよね。君とこうして話していればイライラしなくて済むしね」
長谷部「私も、気持ちが落ち着いてきました。この後は冷静にファイトできそうです」
レフェリー「そうしてくれたまえ。さあ、準備ができたようだ。じゃよろしく」
長谷部「ええ、こちらこそ」
抗議よりも大事なこと
キーパーの西川が出てくるまでの間、長谷部はレフェリーとゴールの横で話していました。最初は、ちょっと難しい顔でしたが、30秒から1分ほどの間に表情が和らぎ、笑みが見えました。
同時に、レフェリーの顔にも笑みがこぼれました。
で、もしかしたら上のような会話があったんじゃないかなと推測したわけです。
レフェリーの判断は、何があろうと最終です。抗議されようが、くつがえしません。
たとえ「あちゃー、まちがえちゃったよ」と思ったら、副審や第四の審判に確認して
明らかな間違いであったとき以外はレフェリー自身にも覆すことはできないのです。
あのシーン、レフェリーは笛を吹いた後、副審に旗を降ろせと指示。
次にキーパーのそばに行きました。そして、まわりに日本の選手が集まってきても、その場にとどまりました。
さらに、副審に何人かが抗議していたので、そばによってオフサイドと判断したことについて確認。
そのうえで、ピッチに入って抗議していたコーチに鄭重に退席処分の指示を出しました。
ゴール裏で抗議しているリザーブにも落ち着くように言ってから、ゴール前へ。
そしてようやくレッドカードを出しました。
一連の動きは、きわめて冷静に見えました(内心は分かりませんが、自制はしていたと思います)。
長谷部はここでキャプテンとして当然の行動に出ます。それは「説明」を求めることです。
キャプテンといえども、抗議はいかなる場合も認められません。ただし、説明を求めることはできます。
「ファウルの判定は、これこれのルール違反があったから」
「これは、こういうプレーの後だからオフサイドではないんだよ」といったことです。
このケースでは、ゴールに向かって飛んだボールを触ったのは(パスしたのはではなく)
「日本のプレーヤーだったとレフェリーが判断した」という説明を受けたはずです。
だとしたら、もう抗議しても無駄です。
大事なのは、ここで切り替えてあと15分をどううまくゲームコントロールするかなのです。
笑顔とコミュニケーションがもたらしたもの
そして、そこでとても大事なことが、落ち着いた会話と笑顔なのです。
要するに「ゲームだから、判定は受け入れました。あとはよいゲームをするので、よろしく」
そういう気持ちを、レフェリーにはっきり伝えることなのです。
レフェリーが「間違っていない」と確信しているのなら、さらなる抗議や疑問は逆効果です。
それを笑顔で受け入れてくれるのなら、うまくコントロールしてくれるでしょう。
レフェリーが「やっぱり判断ミスかなぁ」とちょっとでも思っていたとしたら…。
抗議で変わることはないわけだし、痛いところをグリグリつかれるといい気持ちはしないはずです。
それを「受け入れますよ。ゲームの内、ルールなのですから」といってもらえれば、
気分良くレフェリングできるし、冷静かつ的確に判定できるでしょう。
レフェリングというのは、ズルでもなんでもなく、ある程度バランスをとるものです。
1974年のワールドカップ決勝では、開始早々にオランダにPKが与えられましたが、
前半のうちに西ドイツにもPKが与えられました。
あのときのレフェリーはテーラーさんという、とても優秀なレフェリーでした。
だから、少なくともいい位置でのFKは何本かもらえるなと思いました。
まあ、通常ではタックルがボールと相手の足に半々入ってとらないケースでも
とってくれるんじゃないかと。で、結果はPK(岡崎の頑張りには感激しました)。
さらにはレッドカードも。
長谷部のチームは大人の強さがある
もうひとつ、キャプテンが冷静に落ち着いているのを見ることで、
チーム全体が落ち着きました。「まだ大丈夫だ、浮き足立ってない」と。
何より、急遽とんでもない場面に出てくるキーパーの西川が落ち着きます。
「そう、入るのが当然のPKだ。入れられても、逆転じゃない。同点なんだ」と。
私は、長谷部がキャプテンを務めるようになったこのチームは、
ほんとうに「気持ちの強い」チームなんだと思いました。
ゲーム語のインタビューでも「(南アに出た)自分たちが引っ張らないと」と語っていました。
長友、今野、松井、川島、そして本田圭…さらに大ベテランとなった遠藤も。
ブラジルで30そこそこから20代後半となる彼等の今後に期待したいものです。

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