サッカー日本代表 「勇気」とは、「攻めること」だけなのか?

立て直してはいるが……
5月30日のイングランド戦は、その前の2戦と比べるとデキはだいぶよくなっていたようです。
まず、パス回し。「ただパスを回している」状態から、シュートまで持っていくことを目的としたものになっていたことです。要するにパスの「練習」から、パスによる攻撃の「実践」になっていたのです。
前半のイングランドは、半ばウソ気というかつうらうつらしていたようなこともありましたが、それでもバイタルエリア付近に近付かれると、目を覚ましました。そのため、シュートコースをふさがれたり、シュートを打たせてもらえなかったりという状態でした。
そのなかで、長谷部や本田の「前へ」走る・ボールを動かすという姿勢が、先制点をうむコーナーキックにつながったのだと思います。なかなか崩せない、だからシュートに行けない、無理な体勢で打つから枠に飛ばない……そもそもキックがうまくない……という「決定力」の不満はまだまだあります。それでも、パスはゴールを奪うという目的のために回すのだという「意志」が見えるようになったのは、何よりです。
それをどれだけ詰められるか。立て直しはいますが、あと2週間で技術と崩しの精度を上げてほしいと思います。
追加点が取れないなら、どうするのか?
ハーフタイムで岡田監督は「もう一点とりにいけ」と指示したそうです。それはそうでしょう。イングランドが本調子とは言えない状態で、なかなかエンジンがかからないのですから。ここでもう一点取っておけば、安全圏。
サッカーでは、「2対0のリードは危険」と言われています。なぜなら、次の1点がとても大きな意味を持つからです。1点返されたら、2対1の1点差。「追い上げられている」気分になります。相手は、1点取って勢いがつきます。2対0から一気に逆転というケースも、サッカーではけっこうあるのです。
でも、この日の前半のイングランドなら、2対0になれば、もしかして……それは、勢いと自信につながります。なんといっても、相手は「あの「イングランド」ですから。
ところが、カペッロ監督は一挙に5人交替してきました。まず、ジェラード、コールという中心メンバー。コンディションはイマイチでも、後半だけなら行けるということでしょう。そして、あとの3人はコンディションの良さそうなイキのいい選手。カンタンには攻めさせないし、攻撃面でもエンジンをかけるというメッセージ。
当然、日本は前半ほど攻められません。逆に、危ない場面の連続でした。
後半20分を過ぎたところで、岡田監督が打った手は、岡崎に替えて森本。これは前半から守備でも追い回していたので、FW→FWというのは当然です。
25分過ぎ。大久保を松井に交替。この意図が不明でした。追加点が取れていない。残り20分。もっと攻めるのか、それとも守るのか。
大久保が前半からガチガチやり合っていて疲れているのは分かります。そのため、高い位置(相手の最終ラインやそのちょっと前)から両サイドへのパスの出所を抑えられなくなっていましたから。そこを替えるのは当然です。
ただ、同じタイプと替えるのはどうでしょう。「もう一点とりにいけ」という指示は、まだ生きているというメッセージです。
日本代表は、ドーハのときも、1997年のワールドカップ予選の韓国戦のときも、2006年のオーストラリア戦も、そして今も、「守りきる」ことができない、いやあえていうと「しない」チームなのでしょうか。
残り20分、善戦にボールが収まらない、クリアボールを拾われてサイドを崩す効果的なパスがランパードやジェラードから出る。だとしたら、替える選手は違うのでは?あるいは、替えた選手に出す指示が違うのでは?
オシム氏のいう「勇気」とは?
ゲームの後のオシム氏のコメントで「勇気」ということばが出てきました。私は、前のブログで書いた「腹をくくる」との共通点を感じ取りました。
なぜなら、オシム氏は補足するように「我慢強く粘ることが必要」と語ったからです。
つまり、残り20分、ガチガチに引いて、頭と手足を引っ込めた亀のように、丸くなったアルマジロやダンゴムシのように、ひたすら「ゴールを固める」ことをするべきだったのではないかということです。
松井を入れたのなら、1・5列のシャドー・ストライカーではなく、DFラインの前でボールの出所や崩しの起点を「つぶす」役割ではなかったのでしょうか。
4-1-2-3という構成は、後半10分ぐらいまでは効果的でした。でも、20分過ぎた頃からは、むしろ4-3-1-2とするぐらいの超守備的な構えでもよかったと思います。
DF4人は、とにかくゴール前を固める。ラインは上げない。せいぜいペナルティ・エリアのラインまで。
その前の3人のうち2人は、イングランドの攻撃を動かしているMFを囲んで自由にさせない。残りの一人は逆サイドをケアして展開させない。
トップ下の1人はクリアボールを拾う。拾えなくても、相手ボールになったら、トラップした瞬間にチャージに行く。この位置ならかわされても安全ですから。ただし、そのためにはトップの2人が、かわした選手に後方からでも突っかからなければなりませんが。
2トップは、とにかくイングランドの最終ラインにまつわりつく。この場合、GKにもです。
サイドもケアして、最終ラインを低くしていれば、サイド突破からのセンタリングをオウンゴールというケースのどちらかひとつでも防げたはずです。
1対0なら勝ち点3、1対1でも勝ち点1。予選リーグを勝ち抜くためには、勝ち点0のゲームは絶対に避けなければなりません。
ラッキーだって何だっていいのです。1点取ったら、必死になって守りに守る。がっちりとガードを固めて、100本シュートを打たれたって、ゴールに入れられなきゃいいんです。
そうやってブラジルに勝ったゲームが、1996年のマイアミでありました。あのゲームプランを「日本サッカーのためにはなんの意味もない」と言いたれた連中がいました。「おもしろくない」とブーたれた選手がいました。
でも、あのチームは勝って勝ち点3をつかんだのです。得失点差で予選リーグどまりでしたが、2勝して、たしかに勝ち点6を獲得したのです。
勝ち抜くために、どんなにどんくさくても守る。この1点を守るという戦い方をするのも「勇気」です。
勇気は、攻撃をするためだけに必要なものではありません。
登山では、悪天候の時にムリをせず、頂上を前にして下山することがもっとも勇気のある行動なのだそうです。
もし、そうやって1対0と0対0で日本代表が決勝トーナメントを勝ち進んだら、私はその勇気に拍手します。「つまらない」「とか「おもしろくない」などと言わずに。

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