高校野球の黙祷について

8月15日正午、甲子園球場
今年も8月15日がやってきました。甲子園球場では、例年どおり正午にゲームを中断して1分間の黙祷が捧げられました。
選手権大会で活躍し、後に戦死した球児が大勢いました。戦局の悪化に伴って、大会そのものも中止になりました。選手は、平和な時代に野球を思い切りできることが幸せだと語ります。夜にダイジェストを放送する民放テレビ局のキャスターも、平和な時代のありがたさと、「戦争をしてはいけない」ということを語ります。
でも、私が疑問に思うのは、なぜわざわざゲームを中断してまでやるのかということ。
幸い、昨日の第2試合の明桜と日本航空石川では、中断後に点数の動きはなく、同点で延長まで進みましたが、過去に中断後に投球や守備の乱れがあったり、チャンスをつぶしたりするケースもありました。
確かに、国が主催する戦没者追悼の式典では、正午に黙祷です。でも、その時間に合わせてゲームを中断する必要はないでしょう。
仮に、です。高校サッカーが野球よりも盛んで人気があったとしたらどうでしょう。NHKが全試合放送し、全校あげて応援団が繰り出すほどになっていたら。ゴール前で完全にフリーになったFWが、さあシュートの体勢…というところでホイッスルを吹いて、その場で黙祷するんでしょうか。
子どものころから、どうしてもこの黙祷に違和感を感じてしまいます。
ゲームに支障をきたさず黙祷するなら
ゲームを中断せずに黙祷する方法はいくらでもあるはずです。
昨日4試合で、第2試合は11時6分プレーボールでした。ひとつは、12時直近の時間のウラの攻撃が終わった時点で一時中断する方法。最近は5回が終わったときにグラウンド整備するので、12時までの空き時間をそれにあてればいいのではないでしょうか。12時になったら整備員の方々は、その場で黙祷すればいいのですから。
あるいは、第一試合が終わったところで、次の試合に入るのを待ってもいいのではないでしょうか。
時間がもったいない? だとしたら、1日3試合にすればいいのです。1日3試合なら、第1試合は9時半から。
第2試合の開始予定時刻は12時ですから、試合前に黙祷できます。第1試合が長引いたら、12時直近のイニングの変わり目で中断すればいいことです。
ですから、一番いいのは8月15日は3試合としてしまうこと。雨で前日までの日程がずれたとしても、そのぐらいの融通はきくと思いますが。
きかないのは、何か別の事情があるのではないか。そう思ったのは、実は2度にわたる、大会2日目第1試合の雨による中断があったからです。
生徒とグラウンドのコンディションより日程優先か?
あの中断ノーゲーム。1回目はまあしかたがないでしょう。不可抗力です。
でも、翌日のノーゲームは、言い訳できません。だいたい、前日からの雨でグラウンド状態は最悪。土をいくら入れても、雨は降り続いていたのですからそう簡単に回復しません。
それでもゲームを強行。田植えにはいいコンディションだったでしょうが、野球をやる(やりれるではない)状況ではありません。
応援の生徒もびしょ濡れです。風邪を引いたらどうするのでしょう。ブラスバンドの楽器や応援団の太鼓も、ずぶ濡れになったらメンテナンスがたいへんなはずです。
何より、2日間も無駄な体力と神経を消耗させられた選手。泥田で足をひねったり、滑って転んで怪我をしたりしたら、誰がどう責任を取るんでしょう。
高野連も朝日新聞社も、とにかくなんとしてでも1試合でも多く消化したいとしか考えてないのでは、と私は思ったのです。何せ、甲子園球場の使用料はタダじゃありませんから。
ナイターにでもなったら、追加の出費です。そこで、以前は4試合のときは8時試合開始でした。選手は3時起きだったそうです。コンディションも何もあったもんじゃありません。
攻守交替は全力疾走、守備の作戦タイムは1試合3回まで、内野が集まって話をするのはダメ。ま、一番目のはタラタラ歩いてちゃダメなのでいいとしましょう。でも、他はなんでしょう。野球というゲームの主要な要素をネグレクトしてませんか。そういえば、セカンドランナーからバッターへのコースのサインも、高校野球では不可でしたね。
そのくせプロになると、著名な監督や評論家、中継しているアナウンサー(この人たちは高校もプロも中継しているんですよ!)は、こぞって、「野球というのは、こうした『間』も醍醐味です」なんて言っている。
へえ、じゃあ高校野球には野球の醍醐味のひとつが欠けているわけですか。
もう、何をかいわんや。「汗と涙と泥にまみれた青春群像」といえば、みんな感激の涙を流すんだから、グラウンドがぐちゃぐちゃだろうが、選手が疲れようが、日程優先でやっちゃえやっちゃえということなのでしょう。
だいたい真夏の炎天下に2日も3日も連戦させるなんて、時代遅れもいいところ。はっきりいって、そろそろやめる潮時かも。100回でおしまいということにしたらどうでしょう。
あっ、それじゃあ高野連も朝日新聞も大事な金づるがなくなるのか。
なんだ、要するに高校野球トトカルチョをやっている某団体の方たちと同じ穴の狢ということですね。
8月6日と9日の黙祷はなぜだめ?
話を黙祷に戻します。
2005年の開会式は8月6日でした。開会式が始まる(8時半から)直前の8時15分は広島に原爆が落とされた時間です。広島代表の高陽東が、球状外に整列しているときに黙祷したいと申し出たのですが、高野連の対応は「ノー」でした。理由はよく覚えていませんが、たしか「広島市だけのこと」だとか「政治的な行事」だとかといった理由がマスメディアで取りざたされていたように記憶します。
同年9月8日、11時試合開始予定の長崎清峰から、長崎市に原爆が落とされた11時2分に黙祷したいという希望が出されました。対戦相手の愛工大名電も了承しましたが、やはり高野連と朝日新聞の対応は「ノー」。
このときの理由として、高野連が「あれは長崎だけの問題だから、甲子園全体でやる必要はない」といったとされていました(のちに毎日新聞の誤報と判明)。
理由はどうあれ、高野連も朝日新聞も許可しなかったという事実は残っています。
このふたつの日の黙祷は、なんら政治的なものではありません。阪神淡路大震災や中越地震、あるいはその他の自然災害と同様、原爆の「被災者」の霊を弔うものなのです。それでいえば、終戦の日の黙祷のほうがずっとずっと政治的です。
いまのスケジュールなら、8月6日8時15分にゲームが行われることはありえません。でも、8月9日の11時2分は確実にゲームが行われています。少なくとも、組み合わせ抽選で長崎県(百歩譲って長崎市)の高校がこの日に当たらないように配慮したらどうですか。
市民がこぞって黙祷をささげている時間に、長崎のある高校の高校生たちだけが野球をやってドンガラ応援のエールを送っているのは、なんとしても不自然だと思います。
昭和30年代や40年代、あるいは50年代、広島や長崎の高校が、原爆の日に地元が黙祷をささげている最中に試合をしていたということはなかったのか、調べてみようと思っています。
だいたい、いっぽうで記念式典を中継しておいて、その裏(教育テレビで)長崎県代表がゲームをやっていたとしたら、それを中継するNHKの無神経さにもあきれますけどね。

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